コールバークら心理学者による人間の道徳や倫理の発達段階

コールバークら心理学者による人間の道徳や倫理の発達段階
今回のテーマは、

コールバークら心理学者による
人間の道徳や倫理の発達段階

について紹介します。

社会で生きていくために必要な
規則や道徳性が

どのような過程を経て
身に付いていくのかを論じた
心理学の理論は3つほどあります。

1つ目はフロイトによる
精神分析的理論です。

以前紹介したように、

フロイトは自我の構造としての
イド、自我、超自我を
提起していました。

そして道徳性の基盤は、
5歳前後の男根期に形成され

両親からの愛情を失う
かも知れないという恐れや不安、
罪悪感が道徳的行動の

動機づけになっていると述べています。

また二つ目の理論は

バンデューラによる
社会的学習理論です。

この理論は、自分の身近な人の
言動を見ているうちに、

その言語が身に付いてしまうと
いうものです。

例えば、親が紙くずなどを
ポイッと道路に捨てていたりすると、

それを何気なく見ていた
子供もそのうちにポイッと
ゴミを投げ捨てるように
なっていると言った事です。

良い子に育てるためには
まずは親自身が襟をただした
生活をしなければいけないことになります。

そして3つ目がコールバーグ
による道徳性の発達理論です。

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コールバークによる道徳の発達段階

1927年にニューヨークに
生まれたコールバーグは

シカゴ大学にて、

カール・ロジャースや
ハヴィガーストらの指導を受けた後、

1968年にハーバード大学に
迎えられました。

彼は道徳や倫理の発達を
研究するために、

様々な年齢の子供たちに
色々なジレンマ状態を提示しました。

次の話しは子供たちに
用いた一例です。

ある女性がガンのために
死に瀕していました。

もし彼女を助けられるとすれば
それはある薬を使った場合だけです。

ある薬剤師がその薬を
開発したのですが、

彼はその薬に、薬の開発費用の
10倍もの値段を付けました。

このガンに苦しんでいる女性の
夫は1000ドルしかお金を
準備できなかったのですが、

薬剤師は2000ドルを
要求しました。

夫は薬剤師にもっと
薬を安く売ってほしい、

あるいは後払いにしてほしいと
頼んだのですが、

薬剤師の答えはノーでした。

失望した夫は、

妻の命を助けるために
薬剤師の店に押し入って
その薬を盗んだのでした。

彼の行動は正しかったのでしょうか?

それとも間違っていたのでしょうか?

そして、それはどのような
理由からなのでしょうか?

人間の道徳の3つの発達段階

コールバーグは子供たちに
質問しました。

そして子供たちの
解答を分類し、

道徳性の発達には
3段階がある事を導きだしました。

第一段階(前慣習的段階)

ステージ1.懲罰指向

権力に服従するタイプ

ステージ2.道徳的快楽指向

褒美を貰える場合に
言う事を聞くタイプ

第二段階(慣習的段階)

ステージ3.よい子指向

周りの人に喜ばれる事が
よい行動だとするタイプ

ステージ4.権威指向

法律や秩序、権威を重視するタイプ

第三段階(脱慣習的段階)

ステージ5.社会契約指向

規則を絶対視するのではなく、
正当な理由があれば、それに変わる
方法を主張するタイプ

ステージ6.個人的理念に基づく道徳性

正義、尊厳、平等を重視するタイプ

最終的には誰もが
最高段階の道徳観念を持つように
発達するのでしょうか?

コールバーグは

道徳性の最高段階に到達した人として、

イエス、仏陀、ソクラテス、孔子、
リンカーン、キング牧師など

をあげています。

そして実際に、脱習慣的段階に
進めるのは全体の20%程度だろう
と考えていたそうです。

イギリスで行われた
ある調査では

男性のうち約11%が
女性のうち約3%が

もしも100万ドル貰えてかつ
懲罰を免れると言う保証があるのであれば、

殺人を犯すだろうと
答えたそうです。

コールバークの説を批判した心理学者

1970年代に一世を風靡した
コールバーグの道徳性発達理論ですが、

ギリガンはこれを批判しました。

ギリガンは、コールバーグの
理論は男性的な

「正義の倫理」という観点に
偏りすぎており、

もっと女性的な立場から

「他者へのケアの倫理」

にも目を向けるべきだと主張しました。

一例として、ギリガンは
11~15歳のアメリカの
子供たちに次のような話しを示して

その理由づけを分析しています。

厳しい寒さをしのぐために、

一匹のヤマアラシが
モグラの家族に冬の間だけ

一緒に洞窟の中にいさせてほしい
とお願いしました。

モグラたちはヤマアラシの
お願いを聞き入れてくれました。

けれども、その洞窟は
とてもせまかったので、

ヤマアラシが洞窟の中を
動き回るたびに、

モグラたちはヤマアラシの
ハリに引っ掻かれてしまう事になったのです。

遂にモグラたちはヤマアラシに
洞窟から出て行ってくれるようにと
お願いしました。

ですが、ヤマアラシは
このお願いを断りました。

そして言ったのです。

「ここにいるのが嫌ならば、
君たちが出て行けば良いじゃないか!」

この話しを聞いた
男の子たちは

「その洞窟はモグラの家なんだから、
ヤマアラシが出て行くべきなんだ」

と「正義の倫理」という
観点からのジレンマを解決する
傾向がありました。

それとは対照的に、

女の子たちは
みんなが幸せで快適になれるような
解決策を探す傾向にあったのです。

例えば、

「ヤマアラシの身体を
毛布で覆ってあげたら良いのよ」

という具合です。

男性と女性の道徳や倫理の捉え方の違い

ギリガンは、男性の
心理学者たちは多くの場合、

正義や自立と言う観点から
道徳性を定義してきたと
批判しました。

このような男性的な視点から見ると、

他者との関係性を重視する
女性的な関心は

強さとしてではなく
弱さとして映ってしまう事になります。

そして、このような他者への
援助に価値を置く女性は、

先のコールバーグの理論では
道徳性発達の第三段階に
位置づけられる事になってしまうのです。

ギリガンは、他者へのケアは
道徳性発達において

大変重要な要素に
なっていると考え、

このような「ケアの倫理」
という観点から見ると、

男性の道徳性の発達は
低い段階になると述べています。

普段の生活の中では
私たちは男性であろうと
女性であろうと、

その時々に合わせて
道徳的判断をしているのですが、

こうした道徳の発達に関わる
性差の問題は大変興味深いと思います。

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