微生物とアトピー性皮膚炎とブドウ球菌とバイオフィルムの関係


これまで見てきたように、

私たちの皮膚にもたくさんの
微生物が住んでおり、

様々な活動をしているわけです。

その活動次第で、、

美肌を保つことも、
肌トラブルを抱えることも、

違いが生まれてしまうのです。

例えば、

アトピー性皮膚炎と
黄色ブドウ球菌について、

資生堂リサーチセンターの
こんなデータがあります。

乾燥性症状主体の
アトピー性皮膚炎患者の
上腕屈折部(ひじの内側)と
前額部(おでこ)の検査をすると、

64%(45名中29名)の人は
前腕屈折部から、

黄色ブドウ球菌が検出された。

71%(42名中30名)の人は
前額部から、

黄色ブドウ球菌が検出された。

というデータがあります。

通常ない部分にブドウ球菌が…

こうした報告を聞けば通常、

「ぎゃー、ブドウ球菌!問題!!」

とパニックを起こすでしょう。

が、少し落ち着いてください。

まずは微生物による
アトピー性皮膚炎のメカニズムを
しっかりと理解しましょう。

健常人では、

前額部から表皮ブドウ球菌や
アクネ菌が検出されることはありますが、

前腕屈折部から細菌は
あまり検出されず、

ましてや黄色ブドウ球菌が
検出されることは稀だそうです。

つまり、

アトピー性皮膚炎の方の皮膚には、

多くの場合、

表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の
両方が存在している、

とこのデータは示しているのです。

そして、

黄色ブドウ球菌が存在する
事によって痒みは増すのです。

かゆいとつい掻いてしまうものです。

でも、かく事で皮膚表面に
傷がつき、黄色ブドウ球菌が増殖し、
さらにかゆみが増す。

という悪循環になるのです。

特定の菌だけ殺菌できない

「分かりました。黄色ブドウ球菌が
問題なのですね。悪者なのですね。
この菌を除去することにします。」

…というのが通常の流れです。

黄色ブドウ球菌を殺菌すれば、
確かに痒みは無くなります。

ここが盲点になるのです。

細菌を簡単に殺菌などできません。

いいえ、

消毒液を使えば簡単に
黄色ブドウ球菌を殺す事はできます。

しかし、この手段では表皮ブドウ球菌も
同時に殺菌してしまいます。

すると表皮ブドウ球菌が
皮膚からいなくなってしまい、

今度は皮膚の健康が維持できなくなるのです。

同じブドウ球菌という名前でも
皮膚に対する役割は全く違います。

黄色ブドウ球菌だけを殺し、
表皮ブドウ球菌を元気なまま残す

という便利な消毒薬はないのです。

そして殺菌してしまえば、
また皮膚トラブルは悪化するのです。

厄介な問題バイオフィルムとは?

もう一つ問題があります。

条件の整った場所で
黄色ブドウ球菌が増殖すると、

増殖した菌から

グリコカリックス(菌体外多糖)や
フィブリンファイバー(繊維組織)
が産出され、

やがて菌たちが自分たちを守る
テントのようなバリア

バイオフィルムを作るのです。

私たち人間も自分たちの身を守る
ために防御壁を作ります。

家は壁で覆い、番犬を飼い、
セコムを導入したりします。

微生物も同じ本能を持ちます。
(セコムは分かりませんが…)

こうしたバイオフィルムを
せっせと作り出すようになるのです。

このバイオフィルムが厄介なのは、

消毒液や抗生物質が
跳ね返されてしまい、

フィルムの内部に隠れて
繁殖する菌体に届かなくなる事です。

このように黄色ブドウ球菌は
実に手強い存在なのです。

でもそういう菌が
いるからといって、

神経質に手を洗いすぎたり、
消毒液を手放せない、、

となる人もいるかもしれませんが、

が、忘れてはいけないのは、

洗いすぎたり、消毒をし過ぎれば、
強い味方の表皮ブドウ球菌まで
死なせてしまうのです。

唾液と微生物の関係

これが肌荒れにつながり、
悪循環につながるのです。

微生物のバランスをしっかりと
まずは認識するようにしましょう。

今後具体的なアプローチも
紹介するつもりですが、

腸内と同じようにただ有益菌が
いれば良いわけでもありせん。

ちなみにバイオフィルムは、

黄色ブドウ球菌だけでなく、

口腔内の虫歯原因菌
ミュータンス菌も形成します。

虫歯を治すのが難しいのは、
このバイオフィルムのせいなのです。

口の中には100億もの
細菌がいると言われますが、

唾液1mlあたり
1000万個もいるのです。

でも口腔内においては
有益な常在菌が有害菌を
しっかり制御している、

という仕組みはないようです。

ではどうしているか?

空気や食べ物を通じて、
様々な菌が鼻と口に絶えず
侵入してきますが、

その退治薬は、

唾液、あるいはその先の胃酸なのです。

唾液には殺菌作用があり、
唾液がたくさん出ていれば、

むす場の原因菌の増殖や
歯周病の原因となる連鎖球菌や
グラム陰性菌の感染は抑えられます。

バイオフィルムの形成も
なかなか進まなくなります。

だからこそ口の中で菌の数が
最も減少するのは、食事の後なのです。

唾液がたっぷり出て、しかも食べ物と
一緒に菌も飲み込まれるからです。

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