発酵と有機物の酸化と還元、関わる酵素、微生物の変化の過程


今回のテーマは、

発酵と有機物の酸化と還元、
関わる酵素、微生物の変化の過程

について紹介します。

もちろん美味しく食べて
健康で長生きしたい、

そういう思いで
発酵食品を楽しむのは、

素晴らしいことですが、

その過程にまつわる化学的な
メカニズムを知れば、

なお微生物の神秘に触れることができます。

前回紹介したように、

ATPを作ることが、

私たち人間においても
微生物においても、

生存に重要な行為ということですが、

酸素ガスが利用できず、

しかも硝酸塩や硫酸塩のような
酸素ガスの代わりになる物質も
利用できない環境下で、

有機物を有機物で酸化して
ATPを生成する微生物がいます。

実はこのATPの生産過程が
発酵と呼ばれるメカニズムなのです。

アルコールに見る有機物の酸化と還元

発酵というのは、

有機物が単に分解されるように
見えるものですが、

過程の途中で有機物の
有機物による酸化が起きています。

一番わかりやすい例が
アルコールではないでしょうか。

例えば日本酒の原料であるお米、

お米と日本酒というのは
まるで異なるようなものですが、

元々のグルコースが
発酵を経てエタノールを生成し、

アルコール発酵するわけです。

もう少し詳しく言えば、

途中で、

グリセルアルデヒド3リン酸
のアセトアルデヒドによる酸化が起き、

アセトアルデヒドが還元され
アルコール(エタノール)になるのです。

発酵に関わる酵素と変化の過程

キムチやヨーグルトなど
乳酸発酵においては、

グリセルアルデヒド3リン酸の
ピルビン酸による酸化が起こり、

ピルビン酸は還元されて
乳酸になります。

これら二つの発酵系で、

グリセルアルデヒド3リン酸は、

グルコースから複数の酵素が
関与する数段階の反応過程を経て生じます。

その後、エタノールと乳酸が
生じる反応は、

ピルビン酸までは同じ経路で進むのですが、

その後の反応は別々の
酵素の関与のもと進行します。

こう見ていけば、

アルコールも乳酸発酵も
兄弟のようなものですから、

キムチとお酒が合うのも、
納得できるものです。

発酵というのは大まかに言えば
似たような種類の風味がありますが、
(ツンとした感じ)

そこからさらに数多くの発酵食品に
独特な風味や香りをつけるのも、

こうしたメカニズムからでしょう。

微生物の変化の過程の神秘

また有機物を利用する
発酵(有機発酵)では、

有機物を有機物で酸化するほか、

有機物の水素原子を水素ガス
として待機中に放出することで、

有機物を酸化する過程もあります。

この過程の場合、

水素原子を水素ガスに変化させる
酵素「ヒドロゲナーゼ」は、

水素ガスを水素イオンと電子に
変化せ売る反応も触媒するため、

待機中の水素ガスの濃度が
増加すると水素ガスの放出ができなくなり、

有機物の酸化ができなくなります。

ところが、隣にメタン生成菌
という微生物がいれば、

水素ガスを二酸化炭素で
酸化してメタンに変えてくれます。

メタンになれば逆戻りしないので、

有機物を水素ガスの放出で
参加する細菌は順調に生育でき、

メタン生成菌も順調に生育できます。
(この発酵の匂いが苦手な人も多い…)

有機発酵をする微生物も、

酸素ガスが利用できない環境で
有機物ゴミを分解するのに役立っているのです。

発酵といえば、有機物に起きるもの、

という印象がありますが、

それだけでなく嫌気的条件下に
無機物を無機物で酸化して

ATPを作る無機発酵も知られています。

デスルホビブリオ・スルホジスミュータンス
(Desulfovibrio sulfodismutans)

という細菌で起こることがわかっています。

例えば、

亜硫酸塩を亜硫酸塩で酸化し硫酸塩にし、
酸化剤として使われた亜硫酸塩は
塩化水素に還元されるのです。

世界のいたるところで微生物が
活躍し、変化の触媒となっています。

発酵と有機物の酸化と還元、
関わる酵素、変化の過程など、
非常に精巧な働きをしているのです。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらの記事もおススメ

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。