平安時代の庶民に愛された発酵した柿渋のタンニンの効果と特徴


今回のテーマは、

平安時代から庶民に愛された発酵
した柿渋のタンニンの効果と特徴

について紹介します。

発酵技術というのは、

食べ物の保存や料理のために
用いられるだけでなく、

生活のあらゆる面で発酵技術の
知恵が遺憾なく発揮されてきたわけです。

柿渋というのは、

中世以降の日本人の
庶民生活においては、

欠かすことのできない必需品でした。

特に染料としてなど、平安時代から
多くの用途を持ち、

愛されてきた日本固有の材料で、

渋柿の果実の汁を発酵させ作られます。

近世では、

江戸、京の都、大坂など、

人口の集中する年には
渋問屋が形成され、

また

山城(今の京都府南部)
美濃(岐阜県南部)
備後(広島県東部)
会津(福島県会津地方)

など全国各地に
産地が形成されました。

10世紀頃の文献が
最古のものとされますが、

1697年の「農業全書」や
1842年の「公益国産考」

などには、柿渋の
効果や製造法の特徴などは
詳しく記されています。

幅広い用途で庶民の生活を支えた柿渋

特に柿渋の防腐性は
古くから知られていたようで、

紙類に塗布して風で乾かせると
防腐性と硬度がまし、

紙衣と呼ばれる紙製の衣服
に使われたり、

家具類には漆の下地
として用いられたり、

染料とせいては金属で煤染し、
風乾させた布地を、

水で薄めた柿渋の液中に、
浸して褪色しにくい染衣を作る、

といった効果や特徴が
文献には記されています。

平安時代の下級侍が着た
「柿衣」も、

この柿渋からできていて、

今でもその色は「柿渋色」として
知られている色です。

さらには渋糸を作り
漁網や釣り糸、

友禅や小紋などの型紙
にも利用されていました。

布や糸に強度を加え、

平安時代から庶民たちの
生活を支えていたのです。

柿渋のタンニンの効果と特徴

さて

この「渋」というのは、

現在では一般に「タンニン質」
として知られています。

柿渋はその代表的なもので、

渋柿の主成分はシブオール
というタンニンの一種で、

これを繊維質(布、紙、木)
などに塗布すると、

シブオールによる収斂性が起こり、

防水性を持たせることができる上に、
防腐性もつくので、

傘、団扇、板塀などに塗られ、
天然の耐久塗料ともなるのです。

また第二鉄塩と結合し、

青、または黒みを帯びるので、
染料としても広く利用されました。

もともと赤褐色の液体の
色が変わっていくのも、

発酵微生物による
興味深い特徴と言えるでしょう。

平安時代から庶民に愛された柿渋

さてタンニンといえば、

現在ではポリフェノールの一種として、

活性酸素を除去する
抗酸化物質としても知られます。

ワインやお茶の体への効果の
成分の一つとして知られます。

ですから食用としても、

柿渋は平安時代から庶民に
愛された発酵食品ともいえます。

ご存知の通り渋柿を
そのまま食べても、

タンニンの強烈な渋みがあり、
美味しくないわけで、

一般に好まれていたわけでは
ありませんが、

嗜好食品としてだけでなく、

日本酒の製造には重要な
役割を果たしており、

民間療法に伝承された治療薬
としての効果も重宝されていたのです。

中でも特に日本酒の製造と
柿渋の特徴は、

近年まで密接な関係でした。

これは、日本酒にはしばしば
不溶性のタンパク質が原因で、

出荷してから製品が白濁を
起こすことがあり、

そういう時にはその
製品を回収しなければいけない、
という問題が起こっていたからです。

日本酒と発酵した柿渋の特徴

ここで編み出された知恵が、

日本酒の混濁事故を防ぐために

出荷前のお酒に柿渋を
少量加えるというものだったのです。

すると、柿渋の中のタンニンは、

不溶性のタンパク質を
包み込むようにして沈殿するので、

それをろ過して除いてから、
瓶詰めにして出荷するのです。

こうすることで混濁を引き起こす
不溶性のタンパク質は、

柿渋によって取り除かれているので、

市場に出てからの
混濁事故は起きないのです。

他にも日本酒の製造過程で、

醪(もろみ)の段階で絞って
清酒と粕に分ける時、

麻布製の袋を使いますが、

この復路の目が大きすぎると、
清酒と粕がよく分離できません。

そこでその絞り用の袋を使用する前に
柿渋溶液に漬け込んでおけば、

復路の目詰まりがうまい具合にでき、

それに醪を入れて絞ると
都合よく清酒粕が分かれるのです。

このようにあらゆる場面で
日本では平安時代から庶民に
愛された発酵した柿渋ですが、

その成分であるタンニンには
興味深い効果と特徴があり、

まさに発酵微生物による
知恵というわけですが、

もちろんこうした効果は
お酒や衣服、生地だけでなく、

人体にも効果があるわけで、

この辺りの柿渋の特徴を次回は
さらに見ていくことにしましょう。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらの記事もおススメ

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。