鹿児島や沖縄の発酵食品、ソテツの毒抜きをした蘇鉄味噌の特徴


今回のテーマは、

鹿児島や沖縄の発酵食品、ソテツの
毒抜きをした蘇鉄味噌の特徴

について紹介します。

金属やガラス、プラスチックなど

微生物というのはどんな
環境でもどんなものでも、

分解する能力がありますが、

フグの卵巣の糠漬けに見るように
猛毒すら分解する力があります。

それを応用しているのが
発酵食品の知恵なのですが、

さて微生物による
こうした「解毒発酵」技術は、

フグの卵巣以外に
日本では他のもあります。

南西諸島、例えば
鹿児島県の奄美諸島や
沖縄県の伊平屋島などでは、

最近ではあまり見られなく
なってしまいましたが、

蘇鉄(ソテツ)の実から毒を抜く
発酵食品があります。

蘇鉄の実には豊富に
でんぷんが含まれており、

備荒食として凶作や災害に備えて
飢饉時などの重要な食料源と
なってきたのですが、

沖縄県や鹿児島県では

実際に第一次世界大戦後の
恐慌で極度の貧困、食料不足に陥った時、

島民たちは蘇鉄で飢えをしのいだそうで、
これは「蘇鉄地獄」と呼びます。

発酵食品で食べ物の解毒、毒抜き

ただソテツにはかなりの量で有毒物質の
ホルムアルデヒドが含まれており、

そのまま食べると中毒になります。

グアム島など、蘇鉄のデンプンを
常食している地域では、

パーキンソン病など神経難病が
発生することがよくあります。

ここでも発酵食品の乳酸菌、
酵母による食べ物の解毒・毒抜き
効果とメカニズムが応用されています。

蘇鉄(ソテツ)の赤い実を
収穫すると、

これを二つに割り日に干し、

それを瓶に入れて水を加えて浸し、

しばらくたってから
水を掬い出して、

空気中から侵入した
微生物で数日間発酵させます。

この発酵過程で、

蘇鉄中の有害物質
ホルムアルデヒドは、

微生物の作用で酸化を受け、

蟻酸となり、さらにそれが
分解されて最終的には、

二酸化炭素(CO2)と
水(H2O)になり、

毒抜きされてしまうのです。

微生物の毒抜き技術は
まさに驚愕のプロセスと言えます。

鹿児島や沖縄の発酵食品、蘇鉄味噌の特徴

さてこうして毒抜きされ
できた発酵食品が、

蘇鉄味噌です。

こうして毒抜きされた蘇鉄を
再びよく水で洗い、

再び日に干して乾燥させ
臼でついて粉末状にします。

これを蒸してから蓆(むしろ)
に広げて、2、3日放置しておくと、

これに麹菌がついて
「蘇鉄麹」ができます。

この麹に煮た米や塩を加え、
甕に蓄えておくと、

今度はそこに耐塩性の
乳酸菌や酵母が湧きついて

発酵し、特有の香味を持った
「蘇鉄味噌」が出来上がるのです。

毒のある食材を無毒化する
だけでなく、

味わい深い発酵食品の特徴へと
変貌させてしまう、

鹿児島や沖縄ではこの発酵食品は
伝統的に重要な意味を持っているようです。

毒抜きをした蘇鉄味噌の特徴

鹿児島県の奄美料理では
欠かせない調味料として、

この蘇鉄味噌をうまく熟成させて
おくことが出来ない嫁は、

だらしない嫁とされていたほど、
欠かせない調味料だそうです。

沖縄の島部では、

この味噌に豚肉を加えて作った

「アンダンスー」(脂味噌)が
茶請けに最高のものだったとされ、

そのため蘇鉄の味噌を
「チューキミス」(茶請け味噌)
とも言っていたそうです。

ちなみにこの毒抜きは、

甕の中で発酵を行いますが、

地方によっては
蘇鉄のみを土の中に埋めて、

土壌微生物によって毒抜きする
原始的方法もあったそうです。

確かに世界には、

土に埋めて、微生物の作用で
解毒発酵するものを、

時々見かけることがあります。

中国やアジアで野生茶を
土の中に埋めて毒抜きしたり、

アフリカのエチオピアでは、

植物を土に埋めて発酵させる
「エンセテ」という

発酵食品があるそうです。

蘇鉄味噌など毒抜きする
発酵食品の特徴を知るほど、

人類の発酵技術に対する
畏敬の念を湧いてくるものです。

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