微生物により猛毒を解毒して食べる発酵食品、フグの卵巣の糠漬け


今回のテーマは、

微生物により猛毒を解毒して食べる
発酵食品、フグの卵巣の糠漬け

について紹介します。

発酵という技術によって
微生物の起こす作用、、

というのは驚愕するべきものです。

例えば人体に有益な
栄養素を作り出し、

健康や美容、長寿のサポート
をしてくれるというのも、

非常に不思議なものですが、

それ以外に様々な作用があります。

おそらく世界で最も珍しい
発酵食品というのは、

日本のフグの卵巣の糠漬け

ではないでしょうか。

刺身から鍋、から揚げなど
日本人に大人気の料理な訳ですが、

てっちりやテッサなど
美味しい高級食材として
知られる一方で、

そのフグに含まれる毒により、

調理用フグの取り扱いにおいては
資格や許可が必要だったりして、

取り扱いに注意が必要な
食材として知られますが、

その猛毒を含む部分を食べる、、

というのは世界広しといえども、

他にはない日本独自の文化でしょう。

それがフグの卵巣の糠漬け
というものなのです。

微生物により猛毒を解毒する

フグの毒であるテトロドトキシンが
詰まったフグの卵巣を

食べる民族は日本人以外いないでしょう。

が、もちろんそのまま
食べるわけでなく、

発酵により微生物により
毒抜きが行われるのですが、

これこそ日本人が持つ
発酵の知恵の境地な気がします。

人間の食文化の歴史を見れば、

加工食品の中に食材から
有毒物質を抜いて食べる、

という興味深い技術がありますが、

中でも発酵によって毒を抜く、
解毒発酵食品には、

深い知恵が隠されています。

そんな珍しい発酵食品、
フグの卵巣の糠漬けの作り方

などその発酵技術について
見ていくことにしましょう。

石川県の伝統食品、フグの発酵食品

石川県金沢市の周辺、

大野、金石地区、美川町、能登半島

で作られる伝統食品の一つが、

「フグの卵巣の糠漬け」

ですが、

有毒な原料を用いるという点で
非常に珍しいわけですが、

その有毒物質を微生物
によって解毒、無毒化し、

食品にするという点は
奇跡的ともいえます。

歴史を見てみると、

2300年前に中国の文献
『山海経』ではすでに、

フグを食べると死ぬという記載があり、

日本でも室町時代には
兵士にフグによる中毒が続出したため、

豊臣秀吉はフグ食禁止令を
命じたと言われています。

毒があれば近寄らない、、

というのは普通の感覚でしょうが、

それでもなんとか食べれるようにする、

というのは、

フグの美味さゆえでしょうか、
日本人の持つ執念からでしょうか、

石川県では明治初期より、

フグの卵巣の糠漬けの
製造は盛んになり、

トラフグ、ゴマフグ、サバフグ、
ショウサイフグ

と入った毒フグの卵巣が
その原料となってきました。

フグの卵巣の糠漬けの特徴

毒のない肉身の方を
粕漬けにするのなら分かります。

しかしここでは猛毒フグで
かつ最もその中で毒の多い部分である

卵巣を糠漬けにしてしまう
のですからまさに驚愕です。

毒フグの卵巣には、

猛毒テトロドトキシンがあり、

大型のトラフグであれば

卵巣一個でおよそ15人を致死
させるほどのものもあるといいます。

もし殺人犯に渡れば
毒殺も可能になるわけです。

ですから有毒部位の管理は
非常に厳格に行われており、

適切に廃棄方法が
法律によって決められています。

ところがこれを発酵によって
解毒し食べてしまうのですから、

逆転の発想というべき、
独創的な考え方でしょう。

もちろんこんな食べ方は
世界には類を見ないわけで、

まさに発酵王国、漬物大国
ならではの知恵から生まれた
発酵食品なのです。

解毒に3、4年かかる発酵食品

さてフグの卵巣の糠漬けの
作り方ですが、

卵巣をまず30%もの
塩で塩漬けし、

そのまま一年ほど保存します。

その間、2、3ヶ月に一度、

塩に代えて漬け直しますが、

塩の量はだんだん少なく
していくといいます。

塩漬けの期間、卵巣の水分は
出ていくので、

この家庭で毒もある程度
抜け出るそうです。

しかし組織についている
毒というのはなかなか抜けず、

そのまま卵巣に残っています。

次の段階で、

糠につけ込むのですが、

この際、少量の麹と
イワシの塩蔵汁を加えます。

こうして糠に漬け込み、

重石をして2、3年
発酵、熟成させ製品化します。

つまり仕込んでから食べるまでに
3、4年もかけるあたりに、

「悠久の日本人」という
おおらかさを感じるのですが、

こうした珍しい食べ物の
発想の背景には、

日本人の食べ物に対する
飽くなき探究心や、

食材利用に対する
凄まじい執念、

そして発酵文化を大切に
してきた伝統、

周囲を海に囲まれた
魚食民族の魚に対する意地、

など様々な思惑と知恵が
折り重なって作り上げられてきた
のだと感じます。

もちろんこの製法は一部の
人にしか認められていませんから、

どこでも食べられるわけではありません。

現地でいざこの珍しい
発酵食品を食べるとなると、

食べても大丈夫と
頭でわかっていながらも、

やはりドキドキしたことを
覚えています。

微生物により猛毒を解毒して
食べる発酵食品、

機会があれば是非、
食味して見てください。

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