カナダ・イヌイットのアザラシの発酵食品キビヤックの作り方


今回のテーマは、

カナダ・イヌイットのアザラシの
発酵食品キビヤックの作り方

について紹介します。

これまでは比較的オーソドックスで
日本でも普通に食べられる

ユニークで変わった珍しい
発酵食品を紹介してきました。

そのどれもが全てが、

世界中の気候や風土文化に
合わせて微生物とそこに住む
人たちの知恵が融合したものです。

世界中の発酵食品には、
似たものもありますが

他には全くないような
似て非なる発酵食品もあります。

その一つで、

カナディアン・イヌイット、

いわゆるエスキモーと呼ばれる
人たちの食文化で、

極めて珍しい発酵食品

「キビヤック」

というものがあります。

カナダ・イヌイットのアザラシの発酵食品

イヌイットが生活する場所は、

ご存知のように冬は極寒の世界、

短い夏でもそう高く
気温が上がらないわけです。

そう言った厳しい環境では

微生物が発生しにくく、
発酵食品を持たない民族、

と言われてきました。

確かにお酒を歴史上持たない
民族として知られていたのですが、

その極限の民族には
驚くような知恵を持った
発酵食品が存在したのです。

微生物の不思議さは
これまでも見てきましたが、

キビヤックという存在は
やはり神秘なものと感じます。

世界にも類を見ない
驚愕の特徴を持つ発酵食品は、

巨大なアザラシの腹の中に
何十羽という海鳥を詰め込み、

そのアザラシを土の中に埋めて
発酵させるという、

実にダイナミックな漬物なのです。

発酵食品キビヤックの作り方

腹の中にいっぱい海鳥を
冷たアザラシの一匹漬けは

以下のような作り方の工程
を経て出来上がります。

まず海燕の一種アパリアス
を銃で撃ったり霞網で捕まえます。

鳥が多いので、結構な数が得られます。

このアパリアスという海燕は

日本に飛来してくる燕をふた回り
ほど大きくした感じの水鳥で、

そのままで食べてもかなり
臭いがきついものだそうです。

次にアザラシを捉えると、

イヌイットたちはまず
肉や内臓を抜き取ります。

もちろんそれらも全て食べる
わけですが、

その後、皮下脂肪もそぎ取ります

この脂肪も無駄にはせず、
生活のために役立てられます。

脂肪は燃料に使ったり、
食用にしたりします。

こうして空洞となった
アザラシのお腹の中に

アパリアスを詰め込みます。

アパリアスは下ごしらえなどせず、

羽もむしらずそのまま入れる
という実にワイルドな作り方ですが、

だいたい40〜50羽詰め込んだら、

アザラシのお腹を太めの
釣り糸布で縫い合わせます。

これでキビヤックの原型は出来上がります。

キビヤックの発酵プロセス

次に発酵のプロセスです。

こうして下ごしらえ(?)を
済ませたアザラシを

地面に掘った大きな穴に入れ、

上に土をかぶせ、さらに
その上に幾つもの重石を

丁寧に乗せておきます。

重石を乗せるのは、

もちろんキムチや漬物でも
よく見られる光景です。

しかしカナダ・イヌイットの
キビヤックの場合は、

よく漬かるためというより、

野犬や狐、狼、シロクマなど

野生動物に掘り起こされて
食べられないようにするため
と言われています。

カナダのイヌイットの住む

バレン・グラウンズあたりは、

夏は五月末から始まり
八月末から九月には短い秋、

そしてすぐに冬という気候です。

実質には夏は三ヶ月ほどしかないのです。

夏と言ってもそう暑くないですが、

その夏の最初に地面に穴を掘り、

キビヤックを仕込むのです。

氷雪地帯の人たちを守る微生物の力

微生物はその地域に住む、
人たちの健康を守るものです。

キビヤックは、厳しい環境に
住むイヌイットを守っている
のかもしれません。

こうして地中に埋めたまま
それを二年間放置しておくと、

夏の間だけ発酵します。

その他の期間は低温のため
発酵は休止しますので、

微生物による発酵期間はだいたい
六ヶ月間ということになります。

こうした

取り出したアザラシは、

グジャグジャの状態で、

土と重石で潰されたような
独特の出で立ちになっています。

ところが海燕の方は、

アザラシの厚い皮に
守られながら、

自らは羽根に被われているので、

ほとんどそのままの形で
出てきます。

発酵食品キビヤックと微生物

さて、

こうしてできた漬物、

イヌイットの人たちは、

アザラシの方を食べるのか?

あるいは海燕の方を食べるのか?

日本人からすれば素直に
疑問に浮かぶことでしょう。

実は燕の方なのです。

アパリアスはアザラシの厚い皮の中で、

こうした作り方を経て、
キビヤックというのは

乳酸菌、酪酸菌、酵母などの
発酵菌によって発酵を受け、

ちょうど日本の「くさや」

の匂いをさらにきつくした、

発酵食品特有の強烈な特異臭を
発するように仕上がります。

イヌイットは人種的には
日本人と同じモンゴロイドだそうです。

ということはつまり、、

もしかしたらキビヤックの微生物は
日本人とも相性が良いということも
考えられます。

次回はさらにその独特の
キビヤックの食べ方について
見ていくことにしましょう。

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