保存食である魚介類の発酵食品、熟鮓や鮒鮓の乳酸菌の作用と特徴

保存食である魚介類の発酵食品、熟鮓や鮒鮓の乳酸菌の作用と特徴
今回のテーマは、

保存食である魚介類の発酵食品、
熟鮓や鮒鮓の乳酸菌の作用と特徴

について紹介します。

さて前回紹介した、

鰹節も魚介類の発酵食品ですが、

鰹節をそのまま食べる
というわけではなく、

あくまで料理の引き立て役として
活躍する物でしょう。

魚介類を祭欣哉酵母で発酵させた
発酵食品はたくさんありますが、

その日本代表と言えるのは、

「熟鮓(なれずし)」でしょう。

熟鮓は魚介類をご飯とともに
重石で圧し、

長い日数をかけ、

乳酸菌を主体とした微生物で
発酵させた物です。

近江(滋賀県)の鮒鮓(ふなずし)
紀州(和歌山)のサンマの熟鮓
などは有名でしょう。

保存食である魚介類の発酵食品

今や日本料理として
「寿司(SUSHI)」と言えば、

海外の人も知っているわけですが、

多くの人が生魚をシャリの上に
乗せる物をイメージするでしょう。

しかし発酵食品としての
熟鮓や鮒鮓は少し違う物です。

熟鮓や鮒鮓の原型となっているのは、

中国や東南アジアに古くから
伝承された物と言われており、

日本でも非常に古い時代に
流入してきたと考えられています。

紀元前4、3世紀に成立した
とされる中国最古の辞書に

「爾雅(じが)」と呼ばれる物があります。

これは周代から漢代にかけて
さまざまな経典や諸経書を採録し
解説した書ですが、

そこにはすでに「すし」という
記述があるのです。

それによると

鮓(さ)というのが魚の貯蔵品

鮨(し)というのが魚の塩辛

醢(かい)というのが肉の塩辛、

その素材には鯉や草魚、鯰など川魚、

鹿、ウサギ、山鳥などの肉が使われて
いたと言います。

つまり「すし」の原型、元祖
というのは魚や肉の漬け物で、

保存食としての発酵食品を指した物であり、

現代私たちが持つ寿司のイメージとは
大きく異なる物なのかもしれません。

肉や魚を保存する技術

中国南部の雲南省西双版納や
タイ、ラオス、カンボジアなどの

メコン川流域民族やヒマラヤ山麓民族
などにも熟鮓文化があり、

この辺りが最も古い地域とも
言われています。

海の民の食べ物としての
イメージが強い寿司ですが、

実は始めは山岳民族によって
寿司が作られたというのは不思議な話ですが、

それはいつも魚介が採れる
海辺の人たちとは違い、

山では肉や魚を長く保存しなければ
ならないので、

その必要から生まれた
保存食である魚介類の発酵食品であり、

熟鮓や鮒鮓には乳酸菌の作用など
メリットが生まれたのが特徴です。

日本にも昔は「山の塩辛」
という保存食があり、

岐阜県や長野県の山奥で作られた
「鶫鱁鮧(つぐみうるか)」
と呼ばれるもので、

鶫の腸をしごいて内容物を取り出し、
肉と共によく叩き、塩を加えて
発酵させた野鳥の塩辛がありました。

熟鮓や鮒鮓の乳酸菌の作用と特徴

熟鮓の代表格である近江の鮒鮓の場合、

4、5月頃の産卵前の鮒(ニゴロフナ)
に塩を降って漬け込み、

それを7月土用に、鮓桶に飯と鮒を
交互に詰め込んで本漬けとし、

強く重石をして発酵させ、
正月頃から食卓に出始めます。

鮒の他にも、

鯇魚(アマゴ)、モロコ、ハヤ、
オイカワ、ドジョウ、ウナギなどの
鮓も昔は多かったそうです。

漬け込んでいる間、まず乳酸菌が
飯に作用して乳酸を作り、

飯と魚全体を酸っぱくして
pH(水素イオン指数)を下げ、

防腐効果を保たせる特徴が現れます。

このとき、魚のタンパク質の
一部がアミノ酸に変わって、

うま味が増しますが、

同時にあの強烈な仁尾身が発酵の
初期から中期にかけて出てくるので、

苦手な人は苦手となるわけです。

発酵食品としての熟鮓や鮒鮓

こうして元々の魚介類から

発酵食品としての熟鮓や鮒鮓は
乳酸菌の作用で、

新しいメリットが生まれるわけです。

もちろん保存性は大きな特徴でしょうが、

味や栄養、健康へのメリットも
増大するのが不思議です。

鮒鮓がじっくりと漬けあがった所に、

包丁を入れて適宜の厚さにし、
やや紅がかった黄金色の卵巣を
肉身と共に少し口にほうばれば、

その奥行きの深い味と匂いが
口一杯に広がるわけです。

こうした味覚から日本人の
伝統の知恵と喜びを感じます。

もちろん食事としてだけでなく、
日本酒の肴としてもマッチします。

或はお茶漬けにするのも良いでしょう。

どんぶりに熱いご飯を入れ
その上に薄く切った鮒鮓を
軽く3、4枚敷き詰め、

その上に辛子とネギのみじん切りを
薬味に添えて、

上から熱い煎茶をかけて頂けば
また違った味わいを楽しめるでしょう。

発酵食品としての、
鮒鮓の乳酸菌の酸味と

ご飯の甘味が互いに融合し合い絡み
その風味が広がるわけです。

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