脂肪が浮かない日本料理の上品な出汁を作る鰹節の歴史と知恵

脂肪が浮かない日本料理の上品な出汁を作る鰹節の歴史と知恵
今回のテーマは、

脂肪が浮かない日本料理の上品な
出汁を作る鰹節の歴史と知恵

について紹介します。

前回まで紹介したように、

保存が効き、なによりうま味という
おいしい味をもたらしてくれる
発酵食品の鰹節ですが、

日本料理に使われる我々に
とって何とも安心感を与えてくれる、

その秘訣は鰹節にあるでしょう。

さらに別の驚くべき
効能があるのですが、

それに気づいていない日本人も
たくさんいるのです。

その効能というのは、、

鰹節を削ってそれで出汁を
取ってみると分かるのですが、

煮出汁の上に油脂成分が全く
浮かんでいない事です。

脂肪を分解する微生物と鰹節の知恵

鰹のたたきなど食べてみると
よく分かると思うのですが、

冷静に考えて見ると、

あれほど脂肪の乗った鰹という
魚を原材料に使っているのですが、

鰹節になった途端、一体あの脂肪は
どこに消えてしまったのでしょう。

全く不思議な事ですが、

これも発酵、そして微生物の
知恵が隠されているのです。

発酵中の鰹節菌が油脂成分を
見事に分解してしまったのです。

カビは、節の表面で増殖中に
油脂分解酵素(リパーゼ)を分泌して、

油脂成分を脂肪酸と
グリセリンに分解し、

さらにその分解物を資化
(つまり食べてしまう事)
をしてしまったからなのです。

こうして脂肪が浮かない日本料理の
ヘルシーで上品な出汁を作る、

鰹節はできあがるのです。

日本料理の上品な出汁を作る鰹節

もちろんどの国の料理も歴史と伝統、
そして知恵があるものですし、

今や日本でも多くの国の
料理が楽しめるわけですが、

やはり発酵技術というのはその
土地の文化が継承されるわけで、

その奥深さを演出するものです。

西欧料理や中国料理と言った

日本料理以外の出汁取りでは、

鶏ガラや牛のテール、豚の足や
骨などを煮込む為に、

脂肪成分が必ず溶出し
スープの上に浮く事になりますが、

日本の出汁にはそれが全くありません。

日本の三大出汁と言えば、

鰹節、昆布、シイタケでしょうが、

この三つの材料からはいずれも
脂肪が浮かんできません。

質素にして格調高く、上品で
キメの細かい日本の出汁は、

日本料理の方向を決定する
要因にもなっています。

粋や上品さ、淡白さの中にある
優雅で奥深い味、

油脂を伴わない食文化
そこには哲学すら感じます。

こうした出汁を使ったからこそ、

日本ならではの精進、懐石、普茶と言った
侘び寂び料理が誕生したのでしょう。

鰹節の歴史と知恵

このように色々な角度から、

鰹節の効果やメリットを
みていくと、

鰹節にはいくつもの知恵が
織り込まれている事に気づきますが、

今では当たり前に使われる
鰹節にはもっと根源的な奇跡がある
という事に気づきます。

それは鰹節が作られた歴史、
時代の古さです。

鰹節の原型は平安時代の
「延喜式」に見られる

「鰹魚(かたうお)」という
素干し品の保存食と言われますが、

この時代から既に鰹節の
原型は使われていたのです。

今のように燻して乾燥し、
それにカビを付けて発酵させた

いわゆる鰹節の歴史の始まりは、

江戸時代の延宝2年(1674年)
と言われていますが、

日本料理の知恵と鰹節の歴史は
古来より密接な関係があったのです。

さらに興味深いのは、
世界に目を広げてみると、

同じく1674年というのは、

奇しくも人類にとって、
偉大な発見がヨーロッパにあった
記念すべき年でもあるのです。

世界と日本の発酵食品の知恵の発展

それはオランダの科学者であり
発明家であった、

アントニオ・ファン・レーウェンフック

が人類史上始めて顕微鏡を作り、
それを使って微生物と言う、

それまで誰も目で見る事が
できなかった微細な生物を
発見した年なのです。

発酵食品の効果はそれまでも
もちろん実感していたのですが、

その効果を実証できる発見は
この年から始まっているのです。

彼の発明した顕微鏡は300倍
もの拡大率で明瞭な像を捉える事ができ、

カビの胞子はもちろんの事、
酵母まで見る事ができました。

それまで哺乳類や爬虫類、両生類
昆虫、魚類、軟体動物

と言った目に見える生物の存在しか
信じられていなかった人々は、

この微生物の発見に驚いたわけです。

ところが同じ年に、地球の
反対側にある日本では既に、

その微生物を巧みに応用し、
鰹からうま味の塊である鰹節
という発酵保存食品を製造していたのです。

脂肪が浮かない日本料理の
上品な出汁を作る

鰹節のメリットはたくさんありますが、

湿度の高い環境を好むカビの
性質を見事に見抜いた、

鰹節の発酵法は世界に類を見ない物で、

日本の先人たちの発酵に対する
知恵の深さと歴史の深さ、

そしてユニークな発想力には
ただただ驚愕する思いがするものです。

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