微生物の悪玉、善玉の区別、有益か有害など影響は表裏一体

微生物の悪玉、善玉の区別、有益か有害など影響は表裏一体
今回のテーマは、

微生物の悪玉、善玉の区別、
有益か有害など影響は表裏一体

について紹介します。

人間に良い人悪い人の
区別はあるでしょうか?

…と考えるとかなり難しいです。

誰の心にも良い部分を悪い部分があり、

絶対悪、絶対善というのは
ないような気がします。

さて、微生物の世界でも

よく善玉、悪玉という区別がされます。

○○は善玉菌、××は悪玉菌

などという言い方をします。

もちろん一般の人たちに分かりやすく
理解してもらえるようにと、

健康に関する話題を提供する
医師や研究者の方が、

テレビや雑誌で言い出したのでしょう。

敵=悪玉菌、味方=善玉菌、中立=日和見菌

などと説明されれば、
確かに分かりやすくはあります。

スポンサーリンク

微生物の悪玉、善玉の区別は難しい

ところが、善玉菌、悪玉菌

というような区別する用語は
微生物の専門書には出て来ないのです。

なぜならそれが有益か有害などの
影響は表裏一体で変わるからです。

乳酸菌、麹かびなど役に立つ微生物、

結核菌、コレラ菌、ブドウ球菌、
サルモネラ菌は重要な感染性を
引き起こす恐ろしい微生物

などとは記されていますが、

悪玉、善玉という単純な区別
ではないのです。

善玉菌、悪玉菌という区別は
絶対的なものとは言えないのが、

この世界の奥深い所であり
面白い所でもあります。

例えば、

バチルス・サブチリス
(Bacillus subtilis)

という菌は和名で枯草菌と言います。

自然界、特に土壌中には
広く分布している細菌です。

この菌は、食品を腐敗させる
菌として代表的な存在で、

その点、食品保存に関しては
特に注意しなければ行けません。

そう言う意味では有害な菌です。

しかし昨今では、健康増進のため
役に立つと人気の菌です。

生産、供給ともに増えている
納豆の製造に用いる納豆菌は、

この枯草菌の力なのです。

食品の腐敗菌を食品加工に
活用しているのですから、

この微生物が善玉か、悪玉なのか
判断に苦しみます。

この菌の影響を良いもの、悪いものと
断言するのは難しい所です。

大腸菌は悪玉菌の代表?

1996年のことです、

岡山の小学校の給食で
病原性大腸菌であるO-157
による食中毒が発生し、

日本国内で8700人の感染者が出て
大きなニュースになりました。

これは当時世界一の記録でした。

痛ましい学童の死者も出し菌の有害性、
恐ろしさを感じた事件ですが、

そのに年ほど前にも幼稚園児が
井戸水を飲み感染し、数名が死亡する

などこの事実が新聞やテレビで
大きく報道されたので、

O-157の名前は大きく広がり、

さらに悪玉菌の代表のように取り上げられ、

多くの人に恐ろしい微生物の代表
という印象を与えたことでしょう。

しかし、大腸菌というのは、

土壌、水、動物、植物、食料品など、

人の生活に関わる所に
広く分布しています。

人や動物の大腸内で活動している
代表的な細菌であり、

全てが悪玉で有害ではないのです。

むしろ有益な働きをする事もあり、

腸内でビタミンB群を合成する
重要な大腸菌が存在します。

草食動物では食べた草の
繊維をブドウ糖として吸収させ、

栄養になるように分解するのは
大腸菌の酵素(エンザイム)なのです。

有益か有害など影響は表裏一体

土壌の中の重要な微生物である、

緑膿菌(りょくのうきん)
(シュードモナス菌Psedomonas)

この50年くらいの間に
詳しい研究がなされますが、

冷蔵庫の中のような
低温の所でも増殖し、

魚介類の腐食を引き起こすなど、
厄介な微生物です。

火傷の部分に増殖すると
緑色の膿を作るので、

この名前がついているのですが、

強力な毒素を作り出すため、

体の広い面積に火傷をすると
この菌の毒素で死亡する例が
多いことで知られています。

動物の皮膚や目など各所に
障害を引き起こし、

人体にも色々な被害を受ける
例も多いことが調査されているので

こう聞くと緑膿菌というのは
有害な悪玉菌の最たるもの
という印象を感じるでしょう。

農薬を無害化する最玉な微生物の力

ところが、種類によれば緑膿菌も
善玉で有益な影響を及ぼすのです。

日本では、過去30年間に渡り、

有毒な有機水銀や有機リン化合物が
何十種類も農薬として
使い続けられていますが、

農産物の品評会で特賞に入るものほど
農薬の含有量が多いという、
状況になっています。

農薬を毎日のように水田や
畑地に散布すると、

有害な物質の土中の残留量が
増加するばかりと言う問題が
生じてしまいます。

ところが緑膿菌の中には、

有機水銀を分解して無機のガスと
水銀にする種類が発見され、

これをタンクの中の砂に
増殖させると、

汚染した水を浄化することが
できるようになったのです。

もし緑膿菌を悪玉だと決めつけ
ていればこうした有益な活用法に
気づかなかったかもしれません。

またパラチオンという農薬も、

緑膿菌の働きで無機成分に
分解、無毒化できることが分かり
実用化されています。

さらに緑膿菌を利用して、

ブドウ糖を効率よく

トレハロース(樹木に
含まれる天然の糖質)

に科学的に変換する技術も開発され、

トレハロースの実用化に
大きな影響を与えています。

こう考えればやはり微生物の
悪玉、善玉の区別はナンセンス
のような気がしてきます。

場所やタイミング、種類により
有益か有害など影響は表裏一体
なのです。

食料危機を一気に解決する方法

同じことはフザリウム菌
というカビについても言えます。

これも土壌菌の代表で、

自然か良い広く分布し、
種類も非常に多い微生物です。

フザリウム菌による、

動物や家畜、人間の皮膚や目の障害など
詳しい研究がされていますが、

農作物成育中の病害や
昆虫の病気についても明らかになり、

麦のアカカビ病など食物を
腐らせる病気を引き起こす
要因として知られています。

このアカカビ病が原因で、
多くの食中毒患者が発生し、

ロシアでは死者も出ています。

これはフザリウム菌の毒素による影響で

アカカビ病の麦をエサとして
食べた家畜が中毒する例も多いです。

これらの事例から判断すれば、

フザリウム菌というのは
カビの中でも最悪玉のように感じます。

しかしこれも種類によっては
菌体内に良質のタンパク質などを
豊富に含むものがあり、

その増殖力が強力です。

24時間の培養で
菌体500キログラムが10トンにまで
増殖するのです。

体重500キロの牛は一日500グラム
しか肉が増えないのに比べれば、
猛烈な増加ぶりです。

このフザリウム菌をもし、将来
栄養価の優れた資料や食料生産に
活用できれば、

食料問題は一気に解決できます。

そうなれば悪玉どころか極めて
重要なカビと言う善玉として
扱われるでしょう。

そうです。

人間も微生物も簡単に
悪玉、善玉の区別がつかないのです。

有益か有害など影響は表裏一体
なのですから、

上手く知恵を使って
活用することが重要になるのです。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらの記事もおススメ

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。